Six Books
TEDの番組で紹介されていたので知ったジル・ボルト・テイラー博士。
こんな素晴らしい人が本を出していないはずが無い、と思って探したらやはりありました。
2009年に出版された「奇跡の脳」です。

この本はすごいです。
すごい3大ポイント
脳卒中で脳がだんだんと機能不全になる様子が克明に描かれている

わずか数時間のできごとを非常に精緻に、そして脳科学者ならではの脳の機能に注目した、他では類を見ない体験談が読めます。
電話をするために名刺カードを探す場面で、もう文字や数字がよく分からないので、一枚ずつイメージ的に探した等の話がリアルです。
わたしの脳はもはや、文字を文字として、シンボルをシンボルとして、地を地として判別することができませんでした。それどころか、名刺は小さな画素を寄せ集めた、抽象的な敷物のように見えたのです。全体的に、名刺というものを形作る断片をごちゃ混ぜにしたような感じ。言語の記号を作っている小さな点々が、名刺の地の色の点々と混ざり合っていました。

脳卒中からの回復ストーリーが希望をもたらす

あれほど何も出来なくなったはずなのに、彼女の回復ぶりがもう「奇跡の脳」そのものです。
人間の治癒能力って底知れないし、回復への熱意の成果もあったことと思います。
文字を覚え直すところから、人生をリスタートするのです。
私も病気で一度ぶっ飛んでから自分の人生は2周目だと思っているのですが、この方は更に上を行っています。尊敬します。
うまく回復するためには、できないことではなく、できることに注目するのが非常に大切。
毎日、何かを達成できたことに喜びながら、どれほど上手くできたかにだけ笑点を絞り続けました。歩けるか、話せるか、自分の名前を覚えていられるか、といったことにはいちいちこだわらない。

「右脳マインド」のスピリチュアルともとれる表現

脳科学者であるというバックグラウンドを考えると、信じられない表現が後半には出て来ます。
一体全体どうしちゃったの?やっぱり頭おかしい?と思われてしまうような。
しかし、この「右脳マインド」こそが、この本の大事なところだと思います。
誤解を恐れずに、これを記した勇気は表彰ものです。

実は、私も陽性症状が一番ひどかった頃に、この右脳体験をしました。
人間を個別に隔てる壁の存在が薄くなって、世界が液体のように溶けてくる感じです。
幸福感と一体感がそこにはあります。
(オカルトやスピリチュアルで「ワンネス」と呼ばれるものの正体でしょう)
脳卒中によってひらめいたこと。
それは、右脳の意識の中核には、心の奥深くにある、静かで豊かな感覚と直接結びつく性質が存在しているんだ、という思い。右脳は世界に対して、平和、愛、歓び、そして同情をけなげに表現し続けているのです。


こちらから、TEDでの講演ビデオを見ることができます。(日本語字幕付き)


実物の脳がこんな色とは、そして、左右にこんなにパックりと割れていることを、私は知りませんでした。
右脳左脳と脳梁があるということは知っていたのですが…。見ることは知ることですね。

本「奇跡の脳」は今年3月に文庫化してお求めやすくなりました。図書館にもある確率高そう。
文庫本は在庫が無くなってしまったようなので、ハードカバー版のリンクに貼り替えました。(5月26日)


更に知りたい方は、こちらの記事(全3回)もどうぞ。

脳卒中になった脳科学者の本――50万部ヒット、『奇跡の脳』がもたらすもの:日経ビジネスオンライン
『奇跡の脳』に聞く、「左脳の時代」を生き抜く術 ~みんなタモリさんを見習おう!:日経ビジネスオンライン
『奇跡の脳』が経済危機脱出の扉を開く:日経ビジネスオンライン

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